[1/3] Making of CARTOROMANCY

総勢22名のヴィジュアル系アーティストたちが、タロットの世界を美麗に表現した実写タロットカードプロジェクト【CARTOROMANCY-カルトロマンシー-】。104ページのアートブックと22枚のタロットカード(大アルカナ)が、それぞれ1月15日に発売されました。このプロジェクトは、ヘアメイク・Michele Berry、フォトグラファー ・Lestat C&M Project、アートディレクター・デザイナー ・T.Nishibayashiらが「"現代における究極の実写タロットカード"を創造する」ために集ったチーム「Vizard」によるもの。ヴィジュアル系の美しい世界観を支えるクリエイターたちに、本プロジェクトに込められた想いを語っていただきました。 

(文:藤谷千明)


コロナ禍だからこそ、ヴィジュアル系の「美しい世界観」を生かしたものを


――まず、このプロジェクトが始まった経緯を聞かせてください。


 Lestat C&M Project:2020年1月以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でライブをすることが難しくなった時期に「(ライブ活動以外で)なにかできることはないかな」と、アーティストの方にご協力いただいて、ヴァンパイアをテーマにしたフォトブック『Vampire is always lurking in our daily lives』を制作しました。 


――コロナ禍に入ってから、アーティストたちの表現する場所が減ってしまっていたことで、ヴィジュアル系アーティストの武器である美しいヴィジュアルや世界観を生かした写真集を出版したということですね。 


 Lestat C&M Project:はい。それが好評だったこともありまして、第二弾を作りたいなと『Vampire is always lurking in our daily lives』のデザインを担当していたT.Nishibayashiさんと、普段からお仕事でご一緒することの多いMichele Berryさんに相談したんです。


Michele Berry:たまたま撮影現場で一緒だったときに、Lestat C&M Projectさんから「タロットカードを作りたい」という話を伺って、「めっちゃいいじゃん! やろうやろう!」と、その場で話が盛り上がって、すぐに企画が決まりました。


 ――本プロジェクトはLestat C&M Projectさん発案とのことですが、Michele BerryさんやT.Nishibayashiさんは、もともとタロットカードにどのようなイメージを持っていたのでしょうか?


 Michele Berry:私はもともとスピリチュアルな世界が好きで、タロットカードや占いも愛好しています。


 T.Nishibayashi:私にとってのタロットカードのイメージは、マリリン・マンソンが『ホーリー・ウッド~イン・ザ・シャドウ・オブ・ザ・ヴァリー・オブ・デス』をリリースしたときの特典ですね。彼がカード内の人物に扮した9枚のタロットカードがついていて。


Lestat C&M Project:ああ! 覚えています。退廃的な雰囲気で素敵なタロットカードでしたね。


T.Nishibayashi:あんなふうに、アーティストの個性を生かした世界観を構築するアートワークを自分でも手掛けることができたら……と衝撃を受けました。私が今の仕事を志すようになった理由のひとつです。



耽美とは「生き方」である


――そしてこのカードには「耽美」という一貫したテーマがあるように感じます。


 Michele Berry:私たちは3人とも耽美な世界観が大好きで、だからこそヴィジュアル系の世界で仕事をしています。そしてもっとヴィジュアル系シーンを盛り上げたい、この美しい世界をもっと色々な人に知ってもらいたいんです。


T.Nishibayashi:ひとことで「耽美」といっても、人によって解釈も違うでしょうし、アーティストによってスタイルの違いもある。それぞれのカードに意味が込められているからタロットカードだからこそ、さまざまな美しい世界が表現できると思ったんです。


 ――おっしゃるように「耽美」という言葉ひとつとっても、解釈の幅がありますね。


Michele Berry:私的には「耽美」は「生き方」だと考えています。ただ薔薇があれば、ヨーロピアンでゴシックな音楽性だけが「耽美」というわけではなくて、最終的には精神性なんじゃないかなと。美しいものを愛する心が耽美と思っております。


Lestat C&M Project:もっと幅広く、多様なものですよね。


Michele Berry:例えば、おどろおどろしくグロテスクな表現だったとしても、美しいと感じたら「耽美」だと思うんです。ですので、いわゆる「耽美系」とは呼ばれていないヴィジュアル系アーティストの方にもお声がけさせて頂きました。


Lestat C&M Project:だからこそ、アーティストの方に協力していただけるのか、最初は少し不安もありました。ご自身のコンセプトや世界観を大切にしているからこそ、「それはちょっと(イメージに)そぐわないので」とお断りされるかもしれないと思っていたけれど、皆さん「それは楽しそうですね!」と快諾してくださる方ばかりでした。

(続く)

Vizard Official

ヴィジュアル系クリエイター集団「Vizard(ヴィザード)」の公式WEBサイトです。

0コメント

  • 1000 / 1000