[2/3] Making of CARTOROMANCY
(文:藤谷千明)
誰をどのカードに? 白熱した人選会議
――本作はどのカードも美麗な仕上がりになっていますが、「1 THE MAGICIAN」のMana様、「3 THE EMPRESS」のHIZAKIさんら、「耽美」の代名詞のような方から、意外と感じられる名前も並んでいます。レジェンド世代のバンドから、若手の方まで幅広い人選であることも特徴ですね。
Michele Berry:色々な世代に参加してほしいと思っていたんです。新世代のバンドが好きな方にレジェンドを知ってもらいたい気持ちもありますし、反対にレジェンド世代のファンの方にも、今最前線で頑張っている人たちの存在を知ってほしいと思って、幅広い世代の方にオファーさせていただきました。
――カードを担当するアーティストはどのように選んだのでしょうか?
Lestat C&M Project:私たちで選んだのですが、会議はかなり白熱しましたね。なかなか決めることのできなかったカードもありましたし。
Michele Berry:最後の最後まで決まらなかったのは「21 THE WORLD」でしたね。このカードはタロットカードの最後を締めくくる一番強い力を持っているカードなので。
T.Nishibayashi:ずっと決まらずに「『21 THE WORLD』は(人物を起用せずに)フルCGグラフィックにする?」みたいな話すら出ていたところに……。
Lestat C&M Project:「CHARGEEEEEEさんしかない!」と、決まりました。
Michele Berry:CHARGEEEEEEさんらしいぶっ飛んだカードで締めくくっていただきました(笑)。
――CHARGEEEEEEさんのトリッキーでパワフルなキャラクターが上手くハマっているカードに仕上がっていますね。
Michele Berry:反対に、「『15 THE DEVIL』は色々な人がハマりそうだけど、どうする?」とかなり難航しましたね。
――多すぎて選べないという、贅沢な悩みが(笑)。結果的に悪魔役がYou.さん、球体関節人形役にiT-さん、綾葉-AYAHA-さんという形になったんですね。
Lestat C&M Project:散々悩んで、前作の『Vampire is always lurking in our daily lives』で、You.さんがとてもぶっ飛んだ表情をしてくれたことを思い出したんです。前回すごく挑戦的なことをしてくださったし、今回も……! と。
ヴィジュアル系アーティストには「耽美の血」が流れている?
――反対に、決まるのが早かったカードは?
Michele Berry:私は「1 THE MAGICIAN』はMana様に」と熱望していました。無から有を創造する最初のカードなので、ヴィジュアル系の世界にゴシック・アンド・ロリータというジャンルを創った人であるMana様にぜひお願いしたいと思っていました。
Lestat C&M Project:Ju-kenさんの「0 THE FOOL」はすぐに決まりましたね。我々3人の間で、Ju-kenさんは日本語でいうところの風来坊、流浪人(さすらう人)のような……、ロックなイメージがあったので、このカードにふさわしいと思ったんです。
Michele Berry:「17 THE STAR」と「18 THE MOON」はイメージが固まるのが早くて、対になるカードですし、同じバンドからがいいなと、Ashmaze.のЯyuさんが「The Star.」、詩結さんは「The Moon.」のカードが、麗しいお二人にピッタリだということで、すぐに決まりましたね。
Lestat C&M Project:DaISUKE DARK SIDEさんの「9 THE HERMIT」も、Michele Berryさんイチオシでしたよね。
Michele Berry:私はDaISUKE DARK SIDEさんとは、長い間お仕事をさせていただいているのですが、ずっと「9 THE HERMIT」のイメージそのものだなと感じていたんです。
――これまで暖めていたイメージを具現化することができたと。今回参加されているアーティストの方の共通点として、たとえば「10 THE WHEEL OF FORTUNE」のCazquiさんだったり、「14 TEMPERANCE」の手鞠さんだったり、それぞれ美に対しての一貫した哲学があるように思うんです。
Lestat C&M Project:いうならば、我々は美しいものだけを集めたかったというか(笑)、美意識の高い人に集まってもらいました。
T.Nishibayashi:みなさん、見た目が美しいのはもちろんなのですけど、Lestat C&M Projectさんがおっしゃるように「それぞれの美意識がある」がポイントなのかなと。各々が独自の世界観を持っていますし、中にはYURAサマみたいな普段のイメージとは違う方もいらっしゃるけれど、やっぱり一貫した美を感じるというか。
――YURAサマが「11 JUSTICE」のカードは、いい意味でたいへん衝撃を受けました。
Lestat C&M Project:YURAサマは元々とても美しい方ですが、普段の雰囲気と違った魅力が引き出せていると思います。
Michele Berry:そういえば、mitsuさんにお声がけさせていただいたときに「僕は耽美じゃないですけどいいんですか?」と謙虚な姿勢で……。
T.Nishibayashi:mitsuさんの「20 JUDGEMENT」も、素晴らしく美しいカードになりましたね。
Lestat C&M Project:最初は「僕でいいんですか?」と遠慮気味におっしゃる方も、こういったメイクをして衣装をまとうと、耽美のスイッチが入るのかもしれません。やっぱりヴィジュアル系のアーティストということで、皆さんきっと「その血」が流れているのだと感じました。
Michele Berry:「流れし血」があるんですよね……。
――ヴィジュアル系アーティストの良さのひとつに「なんにでもなれる」というか、メイクや衣装で現実離れしたイメージを演出できることもあると思うんです。
Michele Berry:ある意味2次元キャラクターのような、ちょっと非現実的で非日常的な部分がありますよね。
――このカードはそういった魅力にあふれていると思います。
(続く)
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